入局案内

卒前・卒後研修

医学生の教育

臨床実習としては産科婦人科と産直実習の2回にわたり学生が廻ってきます。学生に新来患者の予診を取らせる科は、熊大病院ではすっかり少なくなってしまいました。外来や手術実習のほか母子センターに隣接する臨床研修センターの腹腔鏡シミュレーターなどを利用して参加型の教育を心がけています。学生が自由に科を選択できる特別臨床実習では毎年のべ20名近くの学生が産婦人科を選択しており、卒業の時点で産婦人科を強く考えている学生が3~4名います。

取得可能な専門医資格

  • 日本産科婦人科学会・産婦人科専門医
  • 日本周産期新生児学会・周産期専門医
  • 日本婦人科腫瘍学会・婦人科腫瘍専門医
  • 日本生殖医学会・生殖医療専門医
  • 日本癌治療学会・がん治療認定医
  • 日本産科婦人科内視鏡学会・技術認定医
  • 日本超音波医学会・超音波専門医
  • 日本臨床細胞診学会・細胞診専門医

臨床研修の特徴

産婦人科は、周産期医学,生殖医学,婦人科腫瘍医学など広範な分野に及ぶ内科的な管理と外科的管理の両方を行う科です。医師としての成長に伴って自分の適正に応じた分野を選択することができます。
産婦人科医師不足は国にとって喫緊の課題でありますが、ほんとうに求められているのは数をこなす医師ではなく、質の高い医療を提供できる産婦人科医です。
我々は、後進を指導できる産婦人科医師を育成することを目指しています。

周産期医学:生命誕生の手助けをする喜びを経験できる唯一の科であることは言うまでもありません。
当院の母子センターは12床のNICU, 6床のMFICUを有し、年間200例近い母体・新生児搬送に対応しており、平成23年4月に熊本県の総合周産期母子医療センターに指定されました。
出生前診断と遺伝カウンセリング、産褥期うつなどにも積極的に取り組んでいます。

生殖医学:生殖補助医療の発達、骨粗鬆症など、生殖医学に関わる問題は増加しています。
当科では体外受精・胚移植を含めた系統的な生殖補助医療を行っているほか、子宮内膜症やPCOSそして思春期発来異常の治療ならびに基礎的・臨床的研究に力を入れています。

婦人科腫瘍医学:産婦人科における腫瘍医学では、診断から治療までを単一の科で扱うことができ、手術療法、放射線療法、化学療法などを組み合わせて治療にあたります。
当科は九州の医療機関の中でもっとも多くの婦人科がん症例を扱う施設のひとつであり、全国的にみても良好な治療成績を挙げています。

産婦人科が多忙な診療科のひとつであることは否定しませんが、ワークシェアリングが可能なことは大学病院の利点といえます。
夏冬各1週間の休暇や産後の育休期間を確保しているほか、当院の産科では他大学病院と比較しても類のない充分な時間外手当を支給しています。
また医局員の学会出席・発表を奨励し、旅費・参加費の援助を行っています。

研修実施責任者

 片渕 秀隆 教授

研修指導責任者

 大場 隆 准教授、  田代 浩徳 教授(保健学科)、  本原 剛志 講師、  山口 宗影 講師

連絡先、見学・入局のご案内

 後期研修(専攻医研修)のお問い合わせは下記にお願いいたします。専門研修カリキュラムや女性医師の勤務体制に関することなど、お気軽にご相談下さい。
 また、週末・休日であっても見学を受け付けます。詳細は下記のホームページにアクセスして下さい。ご連絡をお待ちしています。

〒860-8556 熊本市中央区本荘1-1-1
TEL 096-373-5269(直通) FAX 096-363-5164
熊本大学大学院生命科学研究部 産科婦人科学(医局長;齋藤 文誉)
E-mail: obgyn@kumamoto-u.ac.jp   HP: http://kumadai-obgyn.net/

後期臨床研修のご案内

2020年度 熊本大学医学部附属病院 専門研修ガイドブックはこちらをご参照ください。

http://www2.kuh.kumamoto-u.ac.jp/rinsyokensyu/recruit/koki_pro.html

産婦人科領域モデル専門研修プログラム

(2019年5月改訂版)

(2020年4月専門研修開始用)

1.専門研修プログラムの理念・目的・到達目標
2.専門知識/技能の習得計画
3.リサーチマインドの養成および学術活動に関する研修計画
4.コアコンピテンシーの研修計画
5.地域医療に関する研修計画
6.専攻医研修ローテーション(モデル)(年度毎の研修計画)
7.専攻医の評価時期と方法(知識、技能、態度に及ぶもの)
8.専門研修管理委員会の運営計画
9.専門研修指導医の研修計画
10.専攻医の就業環境の整備機能(労務管理)
11.専門研修プログラムの改善方法
12.専攻医の採用と登録

1.熊本大学産婦人科研修プログラムについて

産婦人科専門医は、生殖・内分泌領域、婦人科腫瘍領域、周産期領域、女性のヘルスケア領域の4領域にわたり、十分な知識・技能を持ったうえで、以下のことが求められています。
・標準的な医療を提供する。
・患者から信頼される。
・女性を生涯にわたってサポートする。
・産婦人科医療の水準を高める。
・疾病の予防に努める。
・地域医療を守る。

熊本大学産婦人科は、関連病院とともに地域医療を守りながら多数の産婦人科医師を育んできました。「熊本大学産婦人科研修プログラム」は、この歴史を継承しつつ、2018年度からの新専門医制度に合わせた形で産婦人科専門医を育成するためのプログラムとなっており、以下の特徴を持ちます。
・高度医療から地域医療まで幅広く研修を行える研修施設群。
・サブスペシャルティー領域までカバーする、豊富で質の高い指導医。
・OB会による、診療・教育・研究への強力なバックアップ。
・質の高い臨床研究および基礎研究の指導。
・出身大学に関係なく、個々人にあわせて、きめ細やかに研修コースを配慮。
・女性医師も継続して働けるように、労働環境を十分配慮。

2.専門知識/技能の習得計画

日本専門医機構産婦人科領域研修委員会により、習得すべき専門知識/技能が定められています(資料1「 2017年度以降に研修を始める専攻医のための研修カリキュラム」および「専門研修プログラム整備基準( 2018年11月30日改訂版)」修了要件の整備基準項目53参照)。
*基幹施設である熊本大学病院産婦人科には専用のカンファレンス室および専攻医の控え室があり、多数の最新の図書を保管しています。そしてインターネットにより国内外のほとんどの論文がフルテキストで入手可能です。毎週月・火・水・木・金が手術日です。月曜日16時から手術症例を中心にカンファレンスを行い、病態・診断・治療計画作成の理論を学びます。他科との合同カンファレンスとして、毎週木曜日16時半から、新生児科と小児外科合同カンファレンスを行い、不定期に放射線診断科、月に1回病理部と合同カンファレンスを行います。さらに1ヶ月に1度程度、担当した疾患を中心に、指導医と専攻医が集まって勉強会を実施し、病態を深く理解するようにしています。そして日本産科婦人科学会、九州連合産科婦人科学会などの学術集会に専攻医が積極的に参加し、領域講習受講や発表を通じて、専門医として必要な総合的かつ最新の知識と技能の修得や、スライドの作り方、データの示し方について学べるようにしています。
*当プログラムでは、すべての連携施設において1週間に1度の診療科におけるカンファレンスおよび1ヶ月に1度の勉強会あるいは抄読会が行われています。
*毎年月1回以上の研究会や講演会を開催し、各施設の専攻医が積極的に発表して意見交換を交わしてきました。それらは「熊本大学産婦人科研修プログラム」全体での学習機会として継続していきます。

 

3.リサーチマインドの養成・学術活動に関する研修計画

 研究マインドの育成は、診療技能の向上に役立ちます。診療の中で生まれた疑問を研究に結びつけて公に発表するためには、日常的に標準医療を意識した診療を行い、かつその標準医療の限界を知っておくことが必須です。修了要件(整備基準項目53)には学会・研究会での1回の発表および、論文1編の発表が含まれています。
 広く認められる質の高い研究を行うためには、良い着眼点に加えて、正しいデータ解析が必要です。そして学会発表のためには、データの示し方、プレゼンの方法を習得する必要があります。さらに論文執筆にも一定のルールがあります。当プログラムにはそれを経験してきた指導医がたくさん在籍し、適切な指導を受けることができます。
 当プログラムでは、英語論文に触れることが最新の専門知識を取得するために必須であると考えており、論文は可能であれば英文での発表を目指します。原則として、基幹施設である熊本大学病院において、日本産科婦人科学会等の学会発表および論文執筆を目指し、さらに連携施設在籍中も積極的に学会発表および論文執筆を目指します。

 

4.コアコンピテンシーの研修計画

産婦人科専門医となるにあたり、(産婦人科領域の専門的診療能力に加え、)
医師として必要な基本的診療能力(コアコンピテンシー)を習得することも重要です。

医療倫理、医療安全、感染対策の講習会を各1単位(60分)ずつ受講することが修了要件(整備基準項目53)に含まれています。

熊本大学病院では、医療安全、感染対策に関する講習会が定期的に行われております。また、医療倫理に関する講習会も定期的に行われています。したがって、熊本大学病院での研修期間中に、必ずそれらの講習会を受講することができます。さらにほとんどの連携施設で、それらの講習会が行われています。

 

5.地域医療に関する研修計画

当プログラムの研修施設群の中で、地域医療を経験できる施設は以下の通りです。いずれも地域の中核的病院であり、症例数も豊富です。
基幹施設:熊本大学病院

連携施設:熊本赤十字病院、国立病院機構熊本医療センター、熊本市民病院、人吉医療センター、天草中央総合病院、東京慈恵会医科大学病院、熊本労災病院、慈恵病院、福田病院、阿蘇温泉病院、熊本総合病院、荒尾市民病院、山鹿市民医療センター、
水俣市立総合医療センター、本原クリニック 、くまもと森都総合病院
地域医療:上天草総合病院

連携専門医療施設:ソフィアレディースクリニック水道町(生殖医療)

これらの病院はいずれも産婦人科医が不足している地域にあり、地域の強い要望と信頼のもとに、熊本大学産婦人科から医師を派遣し、地域医療を高い水準で守ってきました。当プログラムの専攻医は、これらの病院のいずれかで少なくとも一度は研修を行い、外来診療、夜間当直、救急診療、病診連携、病病連携などを通じて地域医療を経験します。いずれの施設にも指導医が在籍し、研修体制は整っています。

 

6.専攻医研修ローテーション

*年度毎の標準的な研修計画

・1年目;内診、直腸診、経腟・腹部超音波検査、胎児心拍モニタリングを正しく行える。上級医の指導のもとで正常分娩の取り扱い、通常の帝王切開、子宮内容除去術、子宮付属器摘出術ができる。婦人科の病理および画像を自分で評価できる。
・2年目;妊婦健診および婦人科の一般外来ができる。正常および異常な妊娠・分娩経過を判別し、問題のある症例については上級医に確実に相談できる。正常分娩を一人で取り扱える。上級医の指導のもとで通常の帝王切開、腹腔鏡下手術、腹式単純子宮全摘術ができる。上級医の指導のもとで患者・家族からのICができる。
・3年目;帝王切開の適応を一人で判断できる。通常の帝王切開であれば同学年の専攻医と一緒にできる。上級医の指導のもとで前置胎盤症例など特殊な症例の帝王切開ができる。上級医の指導のもとで癒着があるなどやや困難な症例であっても、腹式単純子宮全摘術ができる。悪性手術の手技を理解して助手ができる。一人で患者・家族からのICができる。

*研修ローテーション

専門研修の1年目は、原則として多様な症例を経験できる熊本大学病院で研修を行い、2年目以後に連携施設で研修を行います。当プログラムに属する連携施設は、いずれも熊本大学病院に匹敵する豊富な症例数および指導医による研修体制を有する地域の中核病院で、婦人科手術件数の多い施設や分娩数の多い施設など、それぞれ特徴があります。結婚・妊娠・出産など、専攻医一人一人の事情にも対応してローテーションを決めていきます。なお地域医療を経験できる施設で少なくとも1度は研修を行う必要があります。

 

7.専攻医の評価時期と方法

*到達度評価

研修中に自己の成長を知り、研修の進め方を見直すためのものです。当プログラムでは、少なくとも12か月に1度は専攻医が研修目標の達成度および態度および技能について、Web上で日本産科婦人科学会が提供する産婦人科研修管理システムに記録し、指導医がチェックします。態度についての評価は、自己評価に加えて、指導医による評価(指導医あるいは施設毎の責任者により聴取された看護師長などの他職種による評価を含む)がなされます。なおこれらの評価は、施設を異動する時にも行います。それらの内容は、プログラム管理委員会に報告され、専攻医の研修の進め方を決める上で重要な資料となります。

*総括的評価

専門医認定申請年(3年目あるいはそれ以後)の3月末時点での研修記録および評価に基づき、研修修了を判定するためのものです(修了要件は整備基準項目53)。自己・指導医による評価に加えて、手術・手技については各施設の産婦人科の指導責任者が技能を確認します。他職種評価として看護師長などの医師以外のメディカルスタッフ1名以上から評価も受けるようにします。

専攻医は専門医認定申請年の4月末までに研修プログラム管理委員会に修了認定の申請を行います。研修プログラム管理委員会は5月末までに修了判定を行い、研修証明書を専攻医に送付します。そして専攻医は日本専門医機構に専門医認定試験受験の申請を行います。

 

8.専門研修管理委員会の運営計画

当プログラム管理委員会は、基幹施設の指導医8名と連携施設担当者の計18名で構成されています。プログラム管理委員会は、毎年6月に委員会会議を開催し、さらに通信での会議も行いながら、専攻医および研修プログラムの管理と研修プログラムの改良を行います。

主な議題は以下の通りです。
・専攻医ごとの専門研修の進め方。到達度評価・総括的評価のチェック、修了判定。
・翌年度の専門研修プログラム応募者の採否決定。
・連携施設の前年度診療実績等に基づく、次年度の専攻医受け入れ数の決定。
・専攻医指導施設の評価内容の公表および検討。
・研修プログラムに対する評価や、サイトビジットの結果に基づく、研修プログラム改良に向けた検討。

 

9.専門研修指導医の研修計画

日本産科婦人科学会が主催する、あるいは日本産科婦人科学会の承認のもとで連合産科婦人科学会などが主催する産婦人科指導医講習会が行われます。そこでは、産婦人科医師教育のあり方について講習が行われます。指導医講習会の受講は、指導医認定や更新のために必須となっています。

さらに、専攻医の教育は研修医の教育と共通するところが多く、熊本大学に在籍している指導医のほとんどが、「医師の臨床研修に係る指導医講習会」を受講し、医師教育のあり方について学んで、医師臨床研修指導医の認定を受けています。

10.専攻医の就業環境の整備機能(労務管理)

 当プログラムの研修施設群は、 「産婦人科勤務医の勤務条件改善のための提言」(平成25年4月、日本産科婦人科学会)に従い、「勤務医の労務管理に関する分析・改善ツール」(日本医師会)等を用いて、専攻医の労働環境改善に努めるようにしています。
 専攻医の勤務時間、休日、当直、給与などの勤務条件については、労働基準法を遵守し、各施設の労使協定に従っています。さらに、専攻医の心身の健康維持への配慮、当直業務と夜間診療業務の区別とそれぞれに対応した適切な対価を支払うこと、バックアップ体制、適切な休養などについて、勤務開始の時点で説明を受けます。
 総括的評価を行う際、専攻医および指導医は専攻医指導施設に対する評価も行い、その内容は当プログラム研修管理委員会に報告されますが、そこには労働時間、当直回数、給与など、労働条件についての内容が含まれます。
 近年、新たに産婦人科医になる医師は女性が6割以上を占めており、産婦人科の医療体制を維持するためには、女性医師が妊娠、出産をしながらも、仕事を継続できる体制作りが必須となっています。日本社会全体でみると、現在、女性の社会進出は先進諸国と比べて圧倒的に立ち遅れていますが、わたしたちは、産婦人科が日本社会を先導する形で女性医師が仕事を続けられるよう体制を整えていくべきであると考えています。そしてこれは女性医師だけの問題ではなく、男性医師も考えるべき問題でもあります。
 当プログラムでは、ワークライフバランスを重視し、夜間・病児を含む保育園の整備、時短勤務、育児休業後のリハビリ勤務など、誰もが無理なく希望通りに働ける体制作りを目指しています。

11.専門研修プログラムの改善方法

総括的評価を行う際、専攻医は指導医、施設、研修プログラムに対する評価も行います。また指導医も施設、研修プログラムに対する評価を行います。その内容は当プログラム管理委員会で公表され、研修プログラム改善に役立てます。そして必要な場合は、施設の実地調査および指導を行います。また評価に基づいて何をどのように改善したかを記録し、毎年日本産科婦人科学会中央専門医制度委員会に報告します。

さらに、研修プログラムは日本専門医機構からのサイトビジットを受け入れます。その評価を当プログラム管理委員会で報告し、プログラムの改良を行います。研修プログラム更新の際には、サイトビジットによる評価の結果と改良の方策について日本産科婦人科学会中央専門医制度委員会に報告します。

専攻医や指導医が専攻医指導施設や専門研修プログラムに大きな問題があると考えた場合、当プログラム管理委員会を介さずに、いつでも直接、下記の連絡先から日本産婦人科学会中央専門医制度委員会に訴えることができます。この内容には、パワーハラスメントなどの人権問題が含まれます。

電話番号: 03-5524-6900
e-mailアドレス: nissanfu@jsog.or.jp
住所:〒 104-0031 東京都中央区京橋3丁目6-18 東京建物京橋ビル 4階

12.専攻医の採用と登録

(問い合わせ先)
住所:熊本市中央区本荘1丁目1-1
熊本大学大学院生命科学研究部産科婦人科学講座内
TEL:096-373-5269
FAX:096-363-5164
E-mail:jsogkuma@kumamoto-u.ac.jp
研修開始届け
研修を開始した専攻医は各年度の5月31日までに、専攻医の履歴書、専攻医の初期研修修了証を産婦人科研修管理システムにWeb上で登録する。
産婦人科専攻医研修を開始するためには、①医師臨床研修(初期研修)修了後であること、②日本産科婦人科学会へ入会していること、③専攻医研修管理システム使用料を入金していること、の3点が必要である。
何らか理由で手続きが遅れる場合は、当プログラム統括責任者に相談してください。

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