熊本大学大学院生命科学研究部 先端生命医療科学部門 成育再建・移植医療分野 産科婦人科講座 | 熊本大学病院 産科・婦人科
熊本県における15歳から39歳までの将来子どもを望む若い世代(AYA世代)のがん患者さんは年間約600名いらっしゃいます。しかし、中には治療により生殖機能に影響し、妊娠しづらくなったり、妊娠できなくなったりする方もいらっしゃいます。このような患者さんに対して、治療前に卵子や精子、受精卵(胚)の凍結保存を行うことで、治療後にそれらを用いて妊娠成立が期待できる妊孕性温存治療という治療法があります。
本院では2016年より「生殖医療・がん連携センター」を設立し、AYA世代のがん患者さんの妊孕性温存への取り組みとして、がん治療の前に未授精卵子凍結保存、精子凍結保存、胚凍結保存を行っています。
しかし、がん・生殖医療の概念の浸透は十分とは言えず、当センターの相談件数はAYA世代のがん患者さんの数%ほどにすぎません。
熊本県では、当施設が中心となって、患者さんならびに診療部への情報提供を行い、また地域の各病院とのネットワークの構築を行うことで、がんに対する治療により妊孕性を喪失する危険性を治療前に把握したうえで、適切な対応が行われる環境整備を目的とした事業を行っています。
2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | |
---|---|---|---|---|---|
相談件数 | 10名 男性3名 (18~38歳) 女性7名 (16~38歳) |
16名 男性9名 (19~44歳 ) 女性7名 (15~43歳) |
13名 男性5名 (20~35歳) 女性8名 (15~37歳) |
17名 男性10名 (14~44歳) 女性7名 (18~42歳) |
30名 男性15名 (14~57歳) 女性15名 (14~37歳) |
紹介元 | 院内 8名 院外 2名 |
院内 11名 院外 5名 |
院内 12名 院外 1 |
院内 15名 院外 2名 |
院内 23名 院外 7名 |
精子凍結 | 3名 | 8名 | 3名 | 9名 | 10名 |
卵子凍結 | 3名 | なし | 1名 | 1名 | 1名 |
胚凍結 | 2名 | 1名 | 1名 | 1名 | 1名 |