熊本大学大学院生命科学研究部 先端生命医療科学部門 成育再建・移植医療分野 産科婦人科講座 | 熊本大学病院 産科・婦人科

研究・業績

研究紹介

 われわれの教室では、妊娠高血圧症候群について連綿とした研究の歴史がありました。その後正常・異常妊娠における胎盤絨毛マクロファージの機能に関する研究を端緒とし、女性生殖器におけるマクロファージについて、卵巣癌を中心に様々な研究を進めてきました。

 現在、産科学分野では再び妊娠高血圧症候群に焦点を当て、日々進化する研究技法を取り入れた基礎研究や臨床研究を進めています。婦人科学分野では卵巣癌の腫瘍微小環境と癌幹細胞に関する一連の研究を発展させ、またこれまで行ってきた子宮内膜癌や子宮頸癌、さらには生殖内分泌分野においてAdolescent&Young Adult(AYA/思春期・若年成人)世代のがんに重点を置き研究を進めています。熊本から世界に向けて高い独自性を有する研究成果を発信していきたいと考えています。

研究テーマ

現在進行中の研究テーマは下記の通りです

産科学分野

  • ヒト初期胎盤形成メカニズムの解明
  • 間葉性異形成胎盤における胎盤の多様性・不均質性の解明
  • 分娩の記憶に基づいた子宮頸管熟化機構の解明
  • 妊娠高血圧症候群における簡便かつ非侵襲的な予知マーカーの確立

婦人科学分野

  • 卵巣癌の大網転移における癌幹細胞とニッチのクロストークに関する分子機構の解明
  • オミックス解析を用いた卵巣癌「プラチナ感受性・抵抗性」バイオマーカーの探索
  • 上皮性卵巣癌の治療過程におけるマクロファージ制御の有用性に関する検討
  • 妊孕性温存が求められるAYA世代の子宮内膜癌に対する新たな管理指針の確立
  • AYA世代の早期子宮頸がんに対する適切な治療選択に寄与するバイオマーカーの探索
  • ヒト早発卵巣不全の発症に関わる減数分裂制御遺伝子の探索
  • 小児がんサバイバーに対するエストロゲン補充療法について
  • マクロファージのヘモグロビン処理と卵巣チョコレート嚢胞の炎症・発がんとの関連

令和2年度採択を受けた科研費は下記の通りです

  • ①片渕 秀隆 基盤研究(C)
    環境物質の経卵管的な卵巣暴露による発癌機構の解明から導かれる卵巣癌予防の外科戦略
  • ②大場 隆 基盤研究(C)
    糖尿病の影響を受けた胎児の形態異常に関わる遺伝子のエピゲノム変異に関する研究
  • ③田代 浩徳 基盤研究(C)
    子宮頸癌前癌病変におけるYAP1活性化と内分泌環境因子との関連について
  • ④本原 剛志 基盤研究(C)
    腫瘍随伴マクロファージの免疫学的動態の制御による卵巣癌に対する新規治療戦略の開発
  • ⑤齋藤 文誉 基盤研究(C)
    内分泌学的因子を包含した新たな子宮内膜癌の分類と新規治療戦略の確立
  • ⑥山口 宗影 若手研究(B)
    プロラクチンを介した子宮内膜癌の発癌;増殖機構の解明と新たな予防・治療戦略
  • ⑦伊藤 史子 基盤研究(C)
    原発性卵巣不全患者における減数分裂関連因子異常の探索
  • ⑧坪木 純子 若手研究(B)
    上皮性卵巣癌の治療過程におけるM2マクロファージの変化と新規治療戦略への応用
  • ⑨竹下 優子 若手研究(B)
    卵巣癌におけるANGPTL2標的とした新たな治療戦略の開発