熊本大学大学院生命科学研究部 先端生命医療科学部門 成育再建・移植医療分野 産科婦人科講座 | 熊本大学病院 産科・婦人科
臨床実習としてはポリクリおよびクリニカルクラークシップとして2回の実習が必修となっています。学生に新来患者の予診を取らせる科は熊大病院ではすっかり少なくなってしまいましたが、重要な実習の一つと考え、当科では継続しています。外来や手術実習のほか母子センターに隣接する臨床研修センターの腹腔鏡シミュレーターなどを利用して参加型の教育を心がけています。
熊本大学病院群の卒後臨床研修プログラムでは、1か月以上の産婦人科研修が必修となっており、当科で研修をしていただきます。プログラム内では産婦人科特化コースも設けており、重点的に産婦人科研修を行うこともできます。当科では、後期研修医・指導医からなる屋根瓦式の指導のもと、実践的な研修を行うことができます。詳細は熊本大学病院 総合臨床研修センターのホームページをご参照ください。
基幹施設(熊本大学病院)および連携施設における3年間の研修のなかで、十分な数の症例を経験し、必要な知識と技能を習得します。熊本大学病院 専門研修プログラムもご参照ください。
産婦人科専門医は、生殖・内分泌領域、婦人科腫瘍領域、周産期領域、女性のヘルスケア領域の4領域にわたり、十分な知識・技能を持ったうえで、以下のことが求められています。
熊本大学産婦人科は、関連病院とともに地域医療を守りながら多数の産婦人科医師を育んできました。「熊本大学産婦人科研修プログラム」は、この歴史を継承しつつ、2018年度からの新専門医制度に合わせた形で産婦人科専門医を育成するためのプログラムとなっており、以下の特徴を持ちます。
日本専門医機構産婦人科領域研修委員会により、習得すべき専門知識/技能が定められています(資料1「 2017年度以降に研修を始める専攻医のための研修カリキュラム」および「専門研修プログラム整備基準(2018年11月30日改訂版)」修了要件の整備基準項目53参照)。
*基幹施設である熊本大学病院産婦人科には専用のカンファレンス室および専攻医の控え室があり、多数の最新の図書を保管しています。そしてインターネットにより国内外のほとんどの論文がフルテキストで入手可能です。毎週火・木・金が手術日です。月曜日16時から手術症例を中心にカンファレンスを行い、病態・診断・治療計画作成の理論を学びます。他科との合同カンファレンスとして、毎週木曜日16時半から、新生児科と小児外科合同カンファレンスを行い、不定期に放射線診断科、月に1回病理部と合同カンファレンスを行います。さらに1ヶ月に1度程度、担当した疾患を中心に、指導医と専攻医が集まって勉強会を実施し、病態を深く理解するようにしています。そして日本産科婦人科学会、九州連合産科婦人科学会などの学術集会に専攻医が積極的に参加し、領域講習受講や発表を通じて、専門医として必要な総合的かつ最新の知識と技能の修得や、スライドの作り方、データの示し方について学べるようにしています。
*当プログラムでは、すべての連携施設において1週間に1度の診療科におけるカンファレンスおよび1ヶ月に1度の勉強会あるいは抄読会が行われています。
*毎年月1回以上の研究会や講演会を開催し、各施設の専攻医が積極的に発表して意見交換を交わしてきました。それらは「熊本大学産婦人科研修プログラム」全体での学習機会として継続していきます。
研究マインドの育成は、診療技能の向上に役立ちます。診療の中で生まれた疑問を研究に結びつけて公に発表するためには、日常的に標準医療を意識した診療を行い、かつその標準医療の限界を知っておくことが必須です。修了要件(整備基準項目53)には学会・研究会での1回の発表および、論文1編の発表が含まれています。
広く認められる質の高い研究を行うためには、良い着眼点に加えて、正しいデータ解析が必要です。そして学会発表のためには、データの示し方、プレゼンの方法を習得する必要があります。さらに論文執筆にも一定のルールがあります。当プログラムにはそれを経験してきた指導医がたくさん在籍し、適切な指導を受けることができます。
当プログラムでは、英語論文に触れることが最新の専門知識を取得するために必須であると考えており、論文は可能であれば英文での発表を目指します。原則として、基幹施設である熊本大学病院において、日本産科婦人科学会等の学会発表および論文執筆を目指し、さらに連携施設在籍中も積極的に学会発表および論文執筆を目指します。
産婦人科専門医となるにあたり、(産婦人科領域の専門的診療能力に加え、)医師として必要な基本的診療能力(コアコンピテンシー)を習得することも重要です。
医療倫理、医療安全、感染対策の講習会を各1単位(60分)ずつ受講することが修了要件(整備基準項目53)に含まれています。
熊本大学病院では、医療安全、感染対策に関する講習会が定期的に行われております。また、医療倫理に関する講習会も定期的に行われています。したがって、熊本大学病院での研修期間中に、必ずそれらの講習会を受講することができます。さらにほとんどの連携施設で、それらの講習会が行われています。
当プログラムの研修施設群の中で、地域医療を経験できる施設は以下の通りです。いずれも地域の中核的病院であり、症例数も豊富です。
専門研修の1年目は、原則として多様な症例を経験できる熊本大学病院で研修を行い、2年目以後に連携施設で研修を行います。当プログラムに属する連携施設は、いずれも熊本大学病院に匹敵する豊富な症例数および指導医による研修体制を有する地域の中核病院で、婦人科手術件数の多い施設や分娩数の多い施設など、それぞれ特徴があります。結婚・妊娠・出産など、専攻医一人一人の事情にも対応してローテーションを決めていきます。なお地域医療を経験できる施設で少なくとも1度は研修を行う必要があります。
研修中に自己の成長を知り、研修の進め方を見直すためのものです。当プログラムでは、少なくとも12か月に1度は専攻医が研修目標の達成度および態度および技能について、Web上で日本産科婦人科学会が提供する産婦人科研修管理システムに記録し、指導医がチェックします。態度についての評価は、自己評価に加えて、指導医による評価(指導医あるいは施設毎の責任者により聴取された看護師長などの他職種による評価を含む)がなされます。なおこれらの評価は、施設を異動する時にも行います。それらの内容は、プログラム管理委員会に報告され、専攻医の研修の進め方を決める上で重要な資料となります。
専門医認定申請年(3年目あるいはそれ以後)の3月末時点での研修記録および評価に基づき、研修修了を判定するためのものです(修了要件は整備基準項目53)。自己・指導医による評価に加えて、手術・手技については各施設の産婦人科の指導責任者が技能を確認します。他職種評価として看護師長などの医師以外のメディカルスタッフ1名以上から評価も受けるようにします。
専攻医は専門医認定申請年の4月末までに研修プログラム管理委員会に修了認定の申請を行います。研修プログラム管理委員会は5月末までに修了判定を行い、研修証明書を専攻医に送付します。そして専攻医は日本専門医機構に専門医認定試験受験の申請を行います。
当プログラム管理委員会は、基幹施設の指導医8名と連携施設担当者の計18名で構成されています。プログラム管理委員会は、毎年6月に委員会会議を開催し、さらに通信での会議も行いながら、専攻医および研修プログラムの管理と研修プログラムの改良を行います。
主な議題は以下の通りです。
日本産科婦人科学会が主催する、あるいは日本産科婦人科学会の承認のもとで連合産科婦人科学会などが主催する産婦人科指導医講習会が行われます。そこでは、産婦人科医師教育のあり方について講習が行われます。指導医講習会の受講は、指導医認定や更新のために必須となっています。
さらに、専攻医の教育は研修医の教育と共通するところが多く、熊本大学に在籍している指導医のほとんどが、「医師の臨床研修に係る指導医講習会」を受講し、医師教育のあり方について学んで、医師臨床研修指導医の認定を受けています。
当プログラムの研修施設群は、「産婦人科勤務医の勤務条件改善のための提言」(平成25年4月、日本産科婦人科学会)に従い、「勤務医の労務管理に関する分析・改善ツール」(日本医師会)等を用いて、専攻医の労働環境改善に努めるようにしています。
専攻医の勤務時間、休日、当直、給与などの勤務条件については、労働基準法を遵守し、各施設の労使協定に従っています。さらに、専攻医の心身の健康維持への配慮、当直業務と夜間診療業務の区別とそれぞれに対応した適切な対価を支払うこと、バックアップ体制、適切な休養などについて、勤務開始の時点で説明を受けます。
総括的評価を行う際、専攻医および指導医は専攻医指導施設に対する評価も行い、その内容は当プログラム研修管理委員会に報告されますが、そこには労働時間、当直回数、給与など、労働条件についての内容が含まれます。
近年、新たに産婦人科医になる医師は女性が6割以上を占めており、産婦人科の医療体制を維持するためには、女性医師が妊娠、出産をしながらも、仕事を継続できる体制作りが必須となっています。日本社会全体でみると、現在、女性の社会進出は先進諸国と比べて圧倒的に立ち遅れていますが、わたしたちは、産婦人科が日本社会を先導する形で女性医師が仕事を続けられるよう体制を整えていくべきであると考えています。そしてこれは女性医師だけの問題ではなく、男性医師も考えるべき問題でもあります。
当プログラムでは、ワークライフバランスを重視し、夜間・病児を含む保育園の整備、時短勤務、育児休業後のリハビリ勤務など、誰もが無理なく希望通りに働ける体制作りを目指しています。
総括的評価を行う際、専攻医は指導医、施設、研修プログラムに対する評価も行います。また指導医も施設、研修プログラムに対する評価を行います。その内容は当プログラム管理委員会で公表され、研修プログラム改善に役立てます。そして必要な場合は、施設の実地調査および指導を行います。また評価に基づいて何をどのように改善したかを記録し、毎年日本産科婦人科学会中央専門医制度委員会に報告します。
さらに、研修プログラムは日本専門医機構からのサイトビジットを受け入れます。その評価を当プログラム管理委員会で報告し、プログラムの改良を行います。研修プログラム更新の際には、サイトビジットによる評価の結果と改良の方策について日本産科婦人科学会中央専門医制度委員会に報告します。
専攻医や指導医が専攻医指導施設や専門研修プログラムに大きな問題があると考えた場合、当プログラム管理委員会を介さずに、いつでも直接、下記の連絡先から日本産婦人科学会中央専門医制度委員会に訴えることができます。この内容には、パワーハラスメントなどの人権問題が含まれます。
電話番号: 03-5524-6900
e-mailアドレス: nissanfu@jsog.or.jp
住所:〒 104-0031 東京都中央区京橋3丁目6-18 東京建物京橋ビル 4階
住所:熊本市中央区本荘1丁目1-1
熊本大学大学院生命科学研究部産科婦人科学講座内
TEL:096-373-5269
FAX:096-363-5164
E-mail:jsogkuma@kumamoto-u.ac.jp
研修を開始した専攻医は各年度の5月31日までに、専攻医の履歴書、専攻医の初期研修修了証を産婦人科研修管理システムにWeb上で登録する。
産婦人科専攻医研修を開始するためには、①医師臨床研修(初期研修)修了後であること、②日本産科婦人科学会へ入会していること、③専攻医研修管理システム使用料を入金していること、の3点が必要である。
何らか理由で手続きが遅れる場合は、当プログラム統括責任者に相談してください。